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雑誌の眼鏡

栗林のブログ

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津高房子句集『霞草双手に抱けば』

著者の津高さんは、昭和九年生まれ。俳句は「未来図」に入会、同人ののち、「鷹」入会、そして同人。序文は、小川軽舟主宰が書いておられる。同氏は、帯に次の句を取り上げ、         祇王寺の松の時雨と聞きにけり 「中七が〈松の時雨 を...

栗原かつ代句集『母は水色』

栗原さんは「山河」所属の実力俳人。東京都現代俳句協会賞や山河賞を受けている。口語俳句協会会長賞をも貰っている。NHKの「俳句王国」で中原道夫氏の特選をもらったり、大活躍である。  序文は山本敏倖主宰が、極めて丁寧に多くの佳句をとりあげ、解説している。その数三十六句ほどもある...

田島和生句集『暁紅』

田島さんは沢木欣一の「風」の同人から、林徹の「雉」創刊同人、超結社「晨」の同人参加などを経て、平成二十年に「雉」の主宰を継承し、俳人協会の要職におられる方である。 該句集は氏の第四句集で、東京四季出版、二〇二四年九月二十日発行。  自選12句は次の通り。...

石田郷子句集『万の枝』

石田さんは、「木語」(山田みづえ主宰)で俳句を勉強し、一九九七年に、第一句集『秋の顔』で俳人協会新人賞を受賞された。その後、「椋」を創刊された。『万の花』は第四句集となる。二〇二四年九月十八日、ふらんす堂発行。  自選句の提示がないので、小生の共感句を掲げる。...

好井由江句集『今日の今』

好井さんの第五句集。彼女は昭和十一年生まれで、平成十九年に「現代俳句協会第八回年度作品賞」を貰っている実力俳人である。現在は同人誌「棒」の創刊同人。二〇二四年九月十五日、株式会社ウエップ発行。  自選十二句は次の通り。   忘れたる初夢なにかしら愉快...

増田まさみ句集『かざぐるま』

増田さんの第七句集である。氏には、詩集、句集、写真集など、数多くの著作があり、句集『冬の楽奏』でスエーデン賞・ソニー賞などを受けている。  この句集『かざぐるま』は高橋修宏氏の俳誌「五七五」に載せたものであり、シュールな現代俳句の典型だといえよう。二〇二四年七月二十日、霧工...

『三宅やよい句集』 現代俳句文庫Ⅱ 

三宅さんは坪内稔典さんの「船団」で育った人。同結社散在の後は、「窓の会」に常連として参加されておられる。解説に池田澄子、一句鑑賞に坪内稔典、あざ蓉子、さらに穂村弘が寄稿している。二〇二四年八月八日、ふらんす堂発行。  小生の好きな句は次の通り。...

栗林浩第三句集『あまねし』

私の第三句集がまもなく発行されます。角川文化振興財団より、2024年8月23日の予定であります。概要を紹介申し上げます。   自選12句は次の通りです。               かげろふのゆらりかみんぐあうとかな  ...

柏原日出子句集『メーデー』

著者の柏原さんは大正十五年のお生れ。九十七歳におなりだ。「きたごち」の柏原眠雨主宰のご夫人だと、あとがきで知った。句集名の「メーデー」はご主人の誕生日だそうだ。「きたごち」といえば、以前、東日本大震災の句を集めた句集を発刊され、その中に日出子さんの作品もあったことを記憶して...

坂田晃一句集『耳輪鳴る』

坂田さんは「藍生」(黒田杏子主宰)、「未来図」(鍵和田秞子主宰)から「磁石」の創刊同人(同人会長)を経て現在「麦」(対馬康子会長)に所属。金融機関にお勤めで海外勤務の御経験もある、とあとがきで知った。見聞の広さを感じさせる句が多いが、海外詠は目だたない。むしろ、落ち着いた和...

鈴木美江子句集『山あげの街』

鈴木美江子句集『山あげの街』 鈴木さんは「藍生」と「こだち」で育った人。神奈川県藤沢市に生まれ、栃木県那須烏山市に嫁がれた。この町には四六〇年以上続いている祭がある。「山あげ祭」といい、真夏炎天の七月末の三日間、豪華な移動舞台を設えて、舞や音曲(常磐津)や芝居が披露される。...

広渡敬雄句集『風紋』

広渡敬雄氏が第四句集『風紋』を出された(二〇二四年七月十七日、角川文化振興財団発行)。氏は、「沖」(能村研三主宰)の重鎮で、「塔の会」幹事、俳人協会理事をも務めておられる。平成二十四年に角川賞を受賞しており、著作に『俳句で巡る日本の樹木50選』や『全国俳枕の旅62選』などが...

董振華句集『静涵』

『語りたい兜太 伝えたい兜太―13人の証言』や『語りたい龍太 伝えたい龍太―20人の証言』を編集著作した董振華(とうしんか、Dong Zhen Hua)の第二句集を読む機会を得た。序文は黒田杏子、帯文は長谷川櫂、跋は安西篤「海原」代表が書いている。『静涵』の題も題字も生前の...

鈴木和枝句集『離農』

著者は現在八十歳。口語俳句をすすめる「主流」(田中陽代表)のメンバーで、その第三句集。いままで十回ほど口語俳句協会の賞を貰っているベテラン。農業に従事されてきたが、年齢と時代の成り行きから離農を決意された。令和六年五月、主流社発行。 小生の感動した句を挙げておこう。...

「楉(すはえ)」二十五周年記念アンソロジー

大輪靖宏さんが米寿を迎えられた。お祝いの会の写真を添えられた楉(すはえ)句会(前身は「上智句会」)の二十五周年記念句集を戴いた。根来久美子さんのあとがきが良い。良き師の元に良き門下生が集まっている。 句集を開いて一読した。こころ優しい句が並んでいる。まさにこの師のもとにこの...

『有馬朗人全句集』

極めて貴重な『有馬朗人全句集』を戴いた。朗人先生の五三六九句と、年譜、解題、初句索引・季語索引を含め全五六四頁の大冊である(二〇二四(令和六)年五月二十八日、角川文化振興財団発行)。俳人有馬朗人を研究するに欠かせない完全資料である。...

「百鳥」30周年記念号

大串章主宰の「百鳥」は2024年5月号で創刊30周年を迎えられた。その記念誌の特集に一句鑑賞を求められ、寄稿致しましたので、ここに再掲させて戴きます。 大串章の一句鑑賞  栗林 浩 灯火親しがり版刷りの同人誌  『恒心』...

鈴木康久句集『九皐枝折』

湘南の人と自然への賛歌と自祝の句集 鈴木主宰からはいつも「さがみね」を送って戴いており、中身はもとより裏表紙の花鳥の写真も楽しませて戴いている。この句集『九皐枝折』は先の『八俵泡垂』に次ぐ第九句集で、氏の旺盛な表現者ぶりに感銘を受けた。『六天風月』に〈年寄に家出のこころ秋立...

鈴木しげを句集『普段』

著者鈴木しげを氏は、昭和三十九年に「鶴」に入会、爾来、石田波郷・石塚友二・星野麥丘人に師事。平成二十五年に「鶴」主宰を継承した。その第六句集で、二〇二四年五月二十一日、ふらんす堂発行。 自選十五句は次の通り。 初山のこゑのひよどり矢継早 芹の香や日々のあかしの友二の句...

黒岩徳将句集『渦』

黒岩さんは十六歳の頃から俳句を始め、夏井いつきの「いつき組」に所属、今井聖主宰の「街」の同人でもある。石田波郷新人奨励賞、「街賞」などを受賞。『天の川銀河発電所』に入集、『新興俳句アンソロジー』(共著)などがある。現在、現代俳句協会青年部長。NHKテレビの俳句番組を含め、活...

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