大高霧海句集『鶴の折紙』
大高霧海句集『鶴の折紙』 大高さんは「風の道」の主宰。この句集は第七句集(令和2021年8月20日、本阿弥書店発行)である。題名は〈132 大統領の鶴の折紙淑気満つ〉に因んでいる。この句については、あとがきに詳しく書かれている。オバマさんが広島を訪問し「十万人を超す日本人の...
大高霧海句集『鶴の折紙』 大高さんは「風の道」の主宰。この句集は第七句集(令和2021年8月20日、本阿弥書店発行)である。題名は〈132 大統領の鶴の折紙淑気満つ〉に因んでいる。この句については、あとがきに詳しく書かれている。オバマさんが広島を訪問し「十万人を超す日本人の...
大木さんは「海光」(林誠司代表)の編集長。日本詩歌句随筆評論協会賞を貰っておられる。その第一句集(2021年8月28日、俳句アトラス発行)である。序文は縁あって渡辺誠一郎(「小熊座」前編集長)が、大木さんの言葉に対する感覚の宜しさをこと上げて書いておられる。句集の題名は〈0...
杉原さんは兵庫県庁勤めの傍ら句会「亞流里(あるさと)」で俳句を始められたのが平成二十二年。句集『ヒヤシンス』は第一句集で、句集名は、初期の作〈理科室の光歪めるヒヤシンス〉からとられた(令和三年九月九日、俳句アトラス発行)。なかなかに写生的な句である。ところが、句集中の多くの...
水上(みずかみ)さんは加藤楸邨、飯田龍太に師事、矢島渚男に兄事。「雲母」「寒雷」「炎環」を経て「梟」同人、「長野雲母」代表であられ、2002年に俳壇賞を受賞されておられる。その第三句集で2010年よりの十年間の作品を収容している。第一句集は『交響』であったが、これに福田甲子...
俳誌「星雲」(故鳥井保和主宰)の後継誌として、「鳥」が創刊される。今回はそのカウントダウン0号として、美しい翡翠を表紙に飾った「鳥」0号が出された。代表は小川望光子氏。主宰制は取らず、鳥井の「有季定型」「自然随順」「景情一如」を継承するとのことである。...
若井さんの第五句集『風雪』(2021年5月25日、角川文化振興財団発行)を読む機会を得た。氏は「狩」(鷹羽狩行主宰)に参加、終刊後「香雨」(片山由美子主宰)に同人参加。角川俳句賞、宗左近俳句大賞、俳人協会賞などを受けておられる重鎮である。 自選と思われる12句は次の通り。...
塩見さんの第三句集(2021年5月15日、朔出版発行)である。氏は先ごろ解散した「船団の会」(坪内稔典代表)のメンバーで、甲南高校を俳句甲子園で優勝に導いた先生でもある。 遅ればせながら、縁あって、該句集を読ませて戴いた。 自選句は次の12句。...
大崎さんは「俳句朝日」の創刊編集長をつとめ、現在は「WEP俳句通信」編集長。2001年からは結社誌「やぶれ傘」創刊主宰。同人誌「棒」同人。この句集は第十一句集であろうか。その他、釣の本、旅の本、詩集、写真集など著作は極めて多い。東大仏文科卒。 自選句は次の12句。...
表紙絵は「見立て江口の君図」 大関さんの句集『大蔵(だいぞう)』を読ませて戴いた(ふらんす堂、2021年7月5日発行)。句集名『大蔵』は〈010 支那海を大蔵経は黄沙追ふ〉に因んでいると思われる。氏は、水原秋櫻子・能村登四郎・福永耕二に師事し、現在『轍』の主宰。句集・評論集...
大河原さんは「桔槹」(森川光郎代表)で研鑽を積み、平成28年に「小熊座」に入会した。福島県の文学賞正賞を受賞している。帯には森川代表が〈野鯉走る青水無月の底を搏ち〉を挙げ、「無類にして無頼」と称賛している。令和3年7月21日、現代俳句協会発行。...
兜太現代俳句新人賞に輝いた北山順さんの初句集『ふとノイズ』が発行された(令和三年七月七日、現代俳句協会)。北山さんは俳句結社「街」(今井聖主宰)に所属している。序文は今井主宰が「俳句は省略の文学である。(略)順さんのこの句集もまたさまざまな省略の試みがみられる」との評を書い...
同人誌「遊牧」(塩野谷仁代表、清水怜編集人)の伍賀さんが該著を出された。本阿弥書店のアンソロジーである(2021年6月30日発行)。100句中、前の部分の16句は、結社「街」(今井聖主宰)時代のもの。全体から、小生の好きな10句ほどを選び、鑑賞させていただく。...
岸原清行(「青嶺」主宰)さんが既刊の四句集と近詠から300句を選んで、該著を上梓された(2021年7月1日、俳人協会発行)。「青嶺」は今年7月で創刊20周年を迎えた。 自註シリーズなので、短い解説が添えられており、鑑賞にとても役に立った。しかも漢字全部にルビが振られており、...
この度、上智句会合同句集『楉(すはえ)』19号が発行された(2021年7月1日、発行人は大輪靖宏先生)。お礼の気持ちを籠めて、小生が好きだったお句を、お一人一句に限って選ばせて戴きました。 01 紅梅の今日は美人によく会ふ日 大輪靖宏...
日野百草さんが「赤城さかえ論」を書かれた(2021年7月4日、コールサック社発行)。氏はノンフィクション作家で多くの賞を受けられ、俳句でも「玉藻」(星野高士主宰)、「鷗座」(松田ひろむ主宰)の同人で、句集・俳論なども多い。...
北海道大学大学院情報科学研究院の教授川村秀憲さん、准教授山下倫央(調和系工学研究室)さん、助教横山想一郎(同研究室)さん(以下、北大と略記)の共著である(オーム社、2021年7月5日発行)。 人工知能(AI)に俳句を生成させる(詠ませるとは言わない)行為は2018年頃からマ...
大串章(俳人協会会長・「百鳥」主宰)さんの第八句集である(角川文化振興財団、2021年7月1日発行)。 あとがきには、大串さんが三十二歳のとき、「非凡にあこがれるより、常凡をおそれぬ恒心の確かさ、これがこの作者に対する私の印象のすべてである」と飯田龍太に評されたことから、句...
文香さんの第三句集になるのであろうか、ユニークな編集の句集である(左右社、2021年6月30日発行)。冒頭に2021年の作品が並び、そのあと、2015年まで遡っての作品群があり、以降、2016,17と20年までの作品が編年体で編まれた550句。一頁に4句が多く、5句の場合も...
「沖」主宰の能村研三さんの第八句集である(東京四季出版、2021年5月24日発行)。平成25年から30年までの三五八句を納めている。 自選12句は次の通り。 筆の穂を噛めば筆の香二月来る 眼に力入れて見てゐる稲の花 一島を被り余して鰯雲 濤声を呼ぶ大鷹の渡りかな...
該著は「おくのほそ道」に係わる評論を書いて、現代俳句評論賞やドナルド・キーン賞優秀賞に輝いた高野公一さんの、芭蕉―おくの細道論、の集大成である(2021年6月10日、朔出版発行)。 小生(栗林)は、時々お邪魔する「山河」の結社句会で高野さんと面識を持ったのであるが、氏は大企...