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雑誌の眼鏡

栗林のブログ

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豊里友行句集『母よ』

豊里氏とは、もう二十年も前になろうか、小生が若手の俳人を取材し、インタビュー記事を「俳句界」に連載していたころ、沖縄をたずねてお会いしたのが初めてであった。そのとき、写真家でもある氏は、小さな洋菓子店の一隅で写真の個展を開いていた。沖縄の人と風景の写真展であった。その句柄は...

伍藤暉之句集『BALTHAZAR』

畏友伍藤暉之氏は令和四年一月、八十一歳で亡くなられた。草田男門の磯貝碧蹄館の高弟で結社「握手」の重鎮であった。俳句の何たるも知らない小生は、初学から随分とお世話になったものである。 伍藤氏は、仲間内でも大の読書家であり、泰西の文学に詳しい「芸術派」であった。だから俳句も俗な...

伊丹啓子句集『あきる野』

「青玄」の後継誌「青群」の創刊編集発行人であった伊丹啓子さんの第三句集である(2022年8月22日、沖積舎発行)。 偉大なる表現者伊丹三樹彦・公子を父母とする啓子氏の、父恋・母恋の句集である。もちろん、そのほかをモチーフとした句も多いのだが、私の胸に迫ってくる作品は、それら...

古志青年部作品集2022

今年もまた「古志」青年部長の石塚直子さんより、『古志青年部作品集』を戴いた。ひとり12句ずつのアンソロジーだが、中から一句ずつを選ばせて戴いた。 麦青し空が自由でありしころ    イーブン美奈子 母の恋祖母の恋きく葛湯かな      石塚 直子...

山本一歩句集『春の山』

山本一歩(「谺」主宰)さんの第六句集である。2022年8月20日、本阿弥書店発行。山本さんは、角川俳句賞、俳人協会新人賞、横浜俳話会大賞などを受賞しておられる。 この句集、極めて平易に書かれた句ばかりである。あとがきに「俳句は平明な言葉で、見えるように、美しく」と書かれてい...

栗林浩句集『SMALL ISSUE』

今年の六月、第二句集を上梓致しました(本阿弥書店、2022年6月15日発行)。 編年体でなく、文庫本のサイズにするなど、すこし拘りのある句集でした。あとがきに、次のように書きました。 あとがき 私の第二句集です。二〇一九年から三年間の作品を、第一句集『うさぎの話』と同数の二...

藤原龍一郎『抒情が目にしみる―現代短歌の危機(クライシス)』

藤原さんの該著(2022年9月1日、六花書林発行)を読む機会をえた。 塚本邦雄、福島泰樹らに多くの紙幅をさき、高瀬一誌、蒔田さくら子、永井陽子にも触れている。 塚本については、第十四冊目の歌集『豹變』(一九八四年)が、彼の大変貌を遂げる時機の歌集であるという。ついで、第十七...

三輪初子句集『檸檬のかたち』

句集のうしろの略歴を見て驚いた。小生と同郷であった。私より三才年下だから、小中高校のいずれかが一緒だったかもしれない。このことは句の鑑賞に関係のないことながら、どうしても共時性を求めながら読んでしまう。 氏は30年以上の句歴を持っている。「童子」「みすゞ」「や」から石寒太主...

飛鳥もも句集『壺中の蝶』

飛鳥ももさんは、あえて言えば市井の一俳人である。しかもかなり熱心な俳句愛好家であるようだ。跋を坂口昌弘氏が、丁寧に書いているのだが、それは飛鳥さんが坂口著『ヴァーサス日本文化精神史』を読んでいたく感銘し、懇請したからであったようだ。あとがきに彼女が「何一つ賞歴もバックアップ...

工藤 進句集『羽化』

工藤さんは北海道生まれで、俳句は「沖」で始められ、「河」で新人賞、「河」賞、「河」銀河賞を取られ、無鑑査同人。「くぢら俳句会」の副主宰であられる。『羽化』は第二句集で2022年7月28日発行。跋文は中尾公彦さん。 自選12句は次の通り。 朧夜のフレスコ画より櫂の音...

栗林智子句集『さはやか』

第二句集である。令和四年七月七日、喜怒哀楽書房発行。著者略歴に、1999年「白露」(廣瀬直人主宰)に参加、白露賞、エッセイ賞などを受賞、2008年「白露」同人、白露評論賞。2012年「白露」終刊、「郭公」(井上康明主宰)の創刊同人として参加。第一句集に『さきがけ』(ふらんす...

戸恒東人句集『旗薄』

「春月」主宰の第十一句集である。表題の「旗薄」(はたすすき)は〈防人の征きしこの道旗薄〉からとられた。東国からの防人たちは筑波山麓の薄の生い茂った道を通って行ったに違いなく、柿本人麻呂の『万葉集』に出典があるようだ。戸恒さんの出身地にかかわる一句である。雙峰書房、2022年...

遠藤風琴句集『春が来て』

026 風光る母校に山路めくところ 038 島どこも教会のあり鐘澄めり 046 湯気立てる人形焼や町小春 056 猫が好き俳句大好き風生忌 065 牡丹の今にも解けてしまひさう 067 紫陽花のだらだら坂や海展け 078 編笠の紅紐艶に風の盆...

野乃かさね句集『瑞花』

野乃さんは「百鳥」から太田土男主宰の「草笛」に所属した方。栃木の北部にお住まいだ。その第二句集である。風土に根ざしたたしかな作品が多い。ご自分も病を得ながら、この句集の境涯性はそれほど深くない。そこに救いがある。むしろ、硬質な抒情性に満ちた作品が多く、それが魅力だといって良...

前川弘明句集『蜂の歌』

前川さんは「海程」の創刊同人で、海程賞など多くの賞を受けておられる。西九州現代俳句協会の会長でもあられる。その第六句集で、2022年7月1日、拓思舎発行。 帯には次の14句が抜かれている。 梅林を行くたましいの冴えるまで はればれと赤子ころがす春の芝...

山本こうし句集『マズルカ』

山本こうしさんの句集『マズルカ』。一〇〇頁に満たない文庫本サイズの瀟洒な句集である。小生も最近このサイズの句集を出したので、興味を持った。句数が少ないのも厳選の結果と思えば、納得できる。あくまでも個人的な好みであるが、一頁に二句なのもよい。二〇二二年六月三十日、喜怒哀楽書房...

山田千里句集『ミルク飲み人形』

山田さんは須藤徹を継いだ俳誌「ぶるうまりん」の代表であられるから、ややシュールな難解句ばかりかと身構えたが、平明で抒情性・青春性豊かな句が多くあった。 あとがきを読んで、ご母堂を介護しておられたこと、かつ、表題となった「ミルク飲み人形」はその御母堂のことであると知り、感動を...

越智友亮句集『ふつうの未来』

越智さんは現在31歳の新鋭で、すでに「新撰21」や「天の川銀河発電所」に入集されている作家である。序文は池田澄子さんが、越智さんとの初対面から、上京し師事されるまで、およびそれ以降の経過をこまかく、情を込めて書いている。読んでいて楽しい。左右社、2022年6月23日発行。...

『稲畑汀子 俳句集成』

稲畑汀子さんは2022年2月27日に亡くなられた。「朝日俳壇」の選者を勇退されておられたので、心配していたのだが、まさに巨星墜つの感があった。 この『集成』は、2022年5月20日、朔出版によるもの。500頁をゆうに超える『集成』に80年の句業が収められている。栞には、宇多...

小林たけし句集『裂帛(れっぱく)』

小林さんの俳句は、栃木県現代俳句協会の和田浩一会長や「地祷圏」の石倉夏生代表のもとでの薫陶から始まり、「遊牧」(清水怜代表、そのころは塩野谷仁氏が代表)に参加され、この句集に結実した。表題は次の句に因んでいる。 188 裂帛の少女の声や寒稽古...

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