中内亮玄さんが編集・発行する『月鳴』の第三号である(2022年2月22日発行)。俳句に係わる紀行文や作品が掲載されている。会員は地元福井の方々が多いが、それ以外にも、関東やハワイ在住の方もおられる。
会員作品を読ませて戴いたので、感謝を込めて、おひとり一句に絞って、好きな句を抽出させて戴きました。失礼をお許しください。
009 まばたきの刹那に雪の鼻濁音 中内 亮玄
021 夏の月ふいに重なり合う刃物 ナカムラ薫
026 石鹸の匂ひも異国洗ひ髪 猪狩 鳳保
033 名月やグラスのルージュぬぐう指 山田 冨裕
036 海の栓でも抜いたか海猫の騒ぎは 植田 郁一
042 謳られた記憶は不意に春みかん 林 和清
068 島人も鳥も早寝の隠岐は春 塩谷美津子
072 たましいの散りゆくさまや花吹雪 高石まゆみ
078 紅指して妻春昼の回遊魚 佐藤日田路
083 同じ旅してきたように駅の蝶 小林 史於
093 新幹線の乗客となるラ・フランス 白﨑寿美子
102 元朝や何にも無くてありがたき 若林 園枝
105 娘の上着まとって堂の前通る 成井 惠子
106 探梅の誘いでしょうか封書の香 石田 秋桜
113 木犀の匂いを辿る獣道 松島 可奈
117 畳縁踏まぬ心得ほととぎす 村田 淑子
121 子が抱けば恐竜となる竹夫人 青木かよ子
126 ことごとく生乾きなる春の月 らふ亜沙弥
128 花の下十年前と同じ木の 瀧澤 静
130 祈る手に力を込める寒参り 金子 桃刀
140 笠立に杖も混じりて春を待つ 佐藤 節子
146 春昼の盛塩ばかり光りおり 早﨑大司郎
150 一回転枕を足に譲る春 光安 翠
162 天井のないはとバスや花の雲 平良 幸子
163 緑陰や一度したよな話して 石倉ひで子
164 除雪車に目覚めて今朝の嵩を知る 惣次美都子
165 桃の花咲いて鬼門の清め塩 中田 良一
166 早稲の花一粒づつの命かな 笠松 信子
166 雨蛙ぺたりと自動販売機 三ツ屋多佳子
石寒太さんの「寒雷」時代の金子兜太さんにまつわる思い出話が載っており、面白かった。兜太さんが酒を断った以降のことはよく知っているのだが、寒太さんが、酒豪だった兜太の、呑むときの付き人的存在だったことを知った。兜太が泥酔型であったことを知った。「つづく」とあるので、次号も楽しみである。
秋山孤哮さんの「日刊県民福井」掲載「俳まくら」も参考になりました。
中内様、ご恵送戴き有難う御座いました。
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