
松岡さんが句集を出された。二〇二五年一月十日、交友プランニングセンター発行。新書版スタイルで、一頁に五句、一〇四頁の厚さ八ミリほどのもの。持ち運びしやすいサイズである。。謙遜されてか「句集以前」との前書きがある。
松岡さんにはその著作『小野蕪子管見』に随分お世話になった。小生が「俳句界」に現在連載中の「評伝―小野蕪子」を書く際に参考にさせて戴いたのである。その松岡さんの句集である。特有な視点からの俳句作品が多い句集である。
とまれ、気に入った句をあげよう。
002 たんぽぽや道を尋ねて喜ばれ
004 夢いくつ見れば冬眠より覚むる
010 月光を浴びて崩るる牡丹かな
012 瀧凍てて時間止まつてをりにけり
019 逝きし子の鎌倉彫の祭下駄
023 花びらを生命線に享けてをり
024 その中のひとつ疵なき榠樝の実
027 花よりも蕾の重き牡丹かな
032 奪衣婆の萎びし乳房冷まじき
039 受診待つ練炭の孔数へつつ
057 特攻や開聞岳の灼けてをり
063 カトレアや同封されし巴里の地図
090 後姿ばかりや銀杏散り急ぐ
098 紫の濃き方へ雁帰りけり
有難う御座いました。
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