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林 亮 句集『致遠』





 林さんは「草樹」(代表は宇多喜代子さん)のメンバーで、『歳華』につぐ句集。題名『致遠』は「遠いところに達する」の意。ご自身はご自分の目標を遠くに置いておられるようだ。一頁四句だて、91頁の句集。300句を収めた。


 小生が感銘した句を抜き出しました。写生の目が効いた佳句が多い。


007 雲海のひろがりとなる花の雲

007 亡き人の座を上にして花筵

008 薄墨の余白はすべて夕桜

015 物として落ちて椿としてそこに

018 春雷の鳴りそびれしがあとに鳴る

022 いくつかの横一線に野火進む

029 大風のほかには吹かぬ蕗畑

050 草刈つて遠さなくなる盆の道

063 ゆつくりとしかも遅れずばつたんこ

066 覚えある音にはじまる花火の夜

075 炭跳ねて静寂なるを驚かす

077 むかうからも近づいてくる枯木立

078 枯蓮の風にともなくざわめきぬ

080 茶の花に継がるる里の水の澄み

084 門松にそよ風対をなして吹く

088 拍よりも礼に齢や七五三


 特に気に入った2句を鑑賞しよう。


007 亡き人の座を上にして花筵

 仲間と花見を楽しんでいる。「花筵」の上席には敬愛する故人の遺影が飾られている。当然、酒が酌み交わされ、故人の思い出話が語られる。亡くなられて初めての花のころであろう。ともすると、しんみりしそうなのだが、花が雰囲気を明るくする。愉快な内緒話も披露されるのであろう。「座を上にして」の措辞が気に入った。


050 草刈つて遠さなくなる盆の道

 こういう感じってあるなあと思わされた。この種の句が、林さんには結構目立つ。「草刈って」という事実をみて、それが「道の距離が短くなった」という感受に至ったことを上手に書いている。〈084 門松にそよ風対をなして吹く〉もその類いの作品であろう。見立てに納得性がある。


 有難う御座いました。

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