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栗林智子句集『さはやか』



 第二句集である。令和四年七月七日、喜怒哀楽書房発行。著者略歴に、1999年「白露」(廣瀬直人主宰)に参加、白露賞、エッセイ賞などを受賞、2008年「白露」同人、白露評論賞。2012年「白露」終刊、「郭公」(井上康明主宰)の創刊同人として参加。第一句集に『さきがけ』(ふらんす堂)、第一歌集に『迷ひ燕』(喜怒哀楽書房)がある。


 小生の共鳴句は次の通り、多数に及んだ。


005 空気うまし麦まみどりの地平線

006 黒牛の背(せな)のひかりも五月かな

010 青芝へわつと子の出て宙返り

018 豆の名に中長(ちゅうなが)鶉(うづら)豊の秋

027 はきはきと空へ銀杏の若葉かな

028 青空にこゑあり桐の花のあり

030 教師より大きな生徒薔薇の前

033 スキップの鴉子烏生まれたか

036 保母さんの手首に輪ゴム南吹く

038 鴨足草(ゆきのした)風をきれいにしてゐたり

040 今生も後生も合歓の花に雨

046 缶ビールシュワッとあけて夫がゐる

046 母さんと夫に呼ばるる夜の秋

051 こころにも表面張力あげはなび

052 虫の音のかさなりて雨しづかなり

061 うるさいと言うて蟷螂(かまきり)振り返る

068 マネの絵の横にモネの絵秋深し

073 裸木となりて欅の器量かな

075 ポインセチア誰もゐなくて鳴るピアノ

077 庭師きて暮るる早さを先づ言へり

079 初雪の音ともなはず一葉忌

082 風花や小面の口ほのと空き

083 寒月のうしろの星を思ひをり

092 振れば鳴くぺんぺん草の実はハート

095 手を繋ぎたがる夫ゐて老いの春

096 万葉の雨はしくしく花雫

097 花時の交番前に立つ巡査

099 ソムリエの黒きエプロン花の夜

102 またたかぬ月も地球も春の星

107 夫無口わたしたいくつ桜餅

114 桑の実の一人が枝を引き寄せて

117 甲州の水の迅さよ夏燕

120 海高く見ゆる途なり草紅葉

121 雨来さうさても皀角子(さいかち)鳴りはじむ

127 鶯の名乗り出でたる虚子の墓

143」稲の葉のどれも天指すこころざし

154 嵯峨菊を褒めて去来の墓の前

160 腕高く魚に塩打つ炭火端


 共通体験が多いせいか、多くの句に共感を覚えた。おおどかで幸せ感に満ち溢れた句集の印象で、悲嘆も抗議も病涯もない。その点、身内として、おおいに安心している。


 小生を詠んだらしい句がいくつかある。


046 缶ビールシュワッとあけて夫がゐる

046 母さんと夫に呼ばるる夜の秋

095 手を繋ぎたがる夫ゐて老いの春

107 夫無口わたしたいくつ桜餅

 大よそは思い当るが、095は身に覚えがない。


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