私の第三句集がまもなく発行されます。角川文化振興財団より、2024年8月23日の予定であります。概要を紹介申し上げます。
自選12句は次の通りです。
かげろふのゆらりかみんぐあうとかな
篝火花(シクラメン)ピアスの痕を溺愛す
卒業すいくたび米を研ぎしかな
ネモフィラの丘の上なら赦さるる
火の色に梯梧が咲かば沖縄忌
のぼる蟻ほぼ同数のおりる蟻
革命の名にジャスミンのかぐはしき
告白のはじめはからすうりの花
あの花がこうなるなんて烏瓜
民主主義焦がしてしまふ柳葉魚の尾
「あとかくしの雪」てふ雪の散居村
「乳房喪失」屋根から雪の落つる音
次のような あとがき を附しました。
この句集『あまねし』は、第一句集『うさぎの話』(2019年6月)、第二句集『SMALL ISSUE』(2022年6月)につぐ第三句集です。全て295句に絞りました。句数を絞ったのは駄句をお目に掛けるのを憚ったからですが、それでも疑問符のつく作品が多くあるかも知れません。読者の炯眼に委ねるばかりであります。
第一および第二句集の際は、思いの丈を入れこんで構成いたしましたが、今回は多くの句集のパターンに倣い、四季別にいたしました。ただし、第二句集から余り日がたっていませんので、時系列には従っていません。通底するテーマは「日常の生活と旅、そして命」といったものに目を向けて「あまねく」書いたつもりであります。
今になって、俳句とはつくづくいいものだなあと思っています。
適度な緊張と安らぎが得られます。長続きできそうです。もし俳句をやっていなかったら、この後半生、どんな良からぬことをやっていたことでしょうか。
どうぞお気楽にお読みいただき、面白い句が幾つかお目に留まれば幸いであります。
角川文化振興財団の俳句部門の方々にお世話になりました。厚くお礼申し上げます。 2024年弥生
装丁は、髙林昭太氏が担当して下さいました。これは、柿本多映さんの句集の『ひめむかし』に倣ってみたのですが、大変気に入ったものとなりました。角川の石川一郎編集長、古田紀子様にお世話になりました。お礼申し上げます。
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