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瀧澤和治著『福田甲子雄の百句』

更新日:10月13日



 ふらんす堂の百句シリーズである。2022年10月1日発行。瀧澤さんは福田甲子雄をこよなく敬愛した門下生。山梨県笛吹市に住み、俳誌「今」代表をなされておられる。まわりには甲子雄を慕う方々が密に集まっている。


 百句の中には小生も愛誦していた句があるので、懐かしく、いくつか挙げてみよう。


句番号

006 磨かれし馬匂ふなり夏木立

010 蜂飼の家族をいだく花粉の陽   

 巨摩野は果樹園が多く、受粉の必要性から養蜂家が多い。「雲母」初巻頭、風土詠である。

019 亡きひとの名を呼び捨てに冬河原

021 生誕も死も花冷えの寝間ひとつ  

 同僚のあっけない死があった。

031 ふるさとの土に溶けゆく花曇   

 この句を染め抜いた布巾を貰ったことがある。甲子雄さんはなかなかの能筆家である。

あとでお目にかけよう。

034 早苗たばねる一本の藁つよし

043 稲刈つて鳥入れかはる甲斐の空  

 とても懐かしい句です。

046 つぎつぎに子が着き除夜の家となる

 甲子雄さんには男の子が三人おられる。皆さん息災であろうか?

060 母郷とは枯野にうるむ星のいろ

075 花月夜死後もあひたきひとひとり  

089 白南風や袴びらきに八ヶ岳    

「袴びらき」は山裾が長く緩やかに広がっている様をいう。

094 落鮎のたどり着きたる月の海   

 この句を染め抜いた布巾は夫人から戴いた。とても懐かしい。お宅の床の間にこの句を揮

毫し焼き付けた大皿が飾ってあった。

099 わが額に師の掌おかるる小春かな 

 手術後の甲子雄を見舞った飯田龍太の「掌」である。嬉しかったに違いない。


 龍太は甲子雄の作品を「どこか早春の蓬のにおいがする。それも塩餡を入れた草餅の、キッパリとした素朴な風味である」と言ったそうだ(あとがきより)。龍太は人をなぞらえる

のがとてもうまい。たとえば、廣瀬直人のことを「木綿のようなひと」と言っていた。


 最後に、031「ふるさとの」の句を染め抜いた布巾の写真を掲げて終えよう。





 瀧澤さん、有難う御座いました。懐かしく読ませて戴きました。「今」の編集部の皆さま、お変わりなくお元気でいらっしゃいますか?  いつも「今」をご恵送いたさき、難う御座います。



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