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西谷剛周句集『酔いどれ』



 西谷さんは奈良の人。「幻」主宰で、奈良県俳句協会会長、関西現代俳句協会事務局長をされておられる。該句集は、幻俳句会句集シリーズ7にあたり、2022年5月発行。


 小生が共鳴した作品は次の通り。


010 仕付け糸付けたるままの紋白蝶

013 鋤き込むやげんげにわかに匂い立つ

014 棒切れを持つ子がいない子供の日

030 停車ボタン誰も押さずに冬紅葉

033 体内の付箋紙剥がす十二月

037 使われていませんという初電話

039 半分は帽子のかたち毛糸編む

043 酒は常温関鯖の締め具合

050 結界の竹を四方に秋祭

084 叩かれてからの勢い野火走る

097 サンダルに置くイヤリング砂日傘

100 貰いたる鴨に散弾銃の弾

109 建国日抜けぬコルクを押し込んで

130 指で拭くスマホ画面の稲埃


 小生の好みに従って、やや大人しく伝統派的な句を選んだのだが、題名のようにお酒の句が多く、楽しい。俳諧味ゆたかな句が多く目についた。ここには載せていないが、世情を詠んだもの、警句的なものや、中には季語入りの川柳的なのもあり、読んでいて面白い。ただし、原則は写生の目を効かせたものであるようだ。イチオシの(いや二オシというのか)二句を掲げよう。


043 酒は常温関鯖の締め具合

 この通ぶりは気に入りました。私も締めサバには目のない方でして、関サバとは贅沢な!

酒も常温がいい。冷やした吟醸酒もいいが、なんでも冷やせばいいというものではない。安酒場で赤ワインを冷やして出されると気が滅入る。もちろん例外もあるだろうが。


097 サンダルに置くイヤリング砂日傘

 主人公は水着の女性だろうか。海に入るのにイヤリングを外す。置く処がないので脱いだサンダルの上に置く。どんなイヤリングなのかは読者の想像に任せる。砂日傘の裡の世界から海へ繋がる景色を想像させる。


 楽しい句集を、有難う御座いました。

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