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高野公一著『芭蕉の天地』―「おくのほそ道」のその奥

更新日:2021年7月9日



 該著は「おくのほそ道」に係わる評論を書いて、現代俳句評論賞やドナルド・キーン賞優秀賞に輝いた高野公一さんの、芭蕉―おくの細道論、の集大成である(2021年6月10日、朔出版発行)。

 小生(栗林)は、時々お邪魔する「山河」の結社句会で高野さんと面識を持ったのであるが、氏は大企業である日本精工(株)の米州総支配人・代表取締役専務という最前線のビジネスマンの経歴を持ちながら、多くの芭蕉研究者をしのぐ高著を、今回世に問うたのである。

 「おくの細道」は多くの人々が読んだことと思われるが、小生も芭蕉研究家の村松友次さんを訪ねたり、大輪靖宏先生の社会人向けの連続講座を聴講したり、関連図書を読み漁り、「隠者説」や「真筆論争」や「曾良の生涯」について書いたものだった。その都度、芭蕉や「おくのほそ道」の謎に関心を持っていて、当然、高野さんのこの論考に期待するところが大きかった。この書は全九章からなっているが、一章ずつ読んで行って、小生が「目から鱗」と感動した部分を抄録してみよう。小生の個人的興味に関連した部分に限定されるが、  

ご寛恕戴きたい。

 高野さんの資料調査の綿密さには脱帽である。「おくのほそ道」の全行程の期間中に詠まれ、該著に載せられている発句以外に、落されたもの、改変されたもの、該著を意図的に構成するために旅の後で詠んで追加したもの等々、すべてにわたって調査し、それに基づいて論考している(纒は巻末の資料1,2)。そのためには、周辺の資料を丹念に漁らねばならない。「曾良日記」「俳諧書留」「真筆懐紙」「短冊」「画賛」「書簡」「撰集」などである。もちろん、蕉門以外の研究者が書いた評文、江戸時代から現代にいたる膨大な資料を網羅するその労の大きさを思うと、まさに脱帽なのである。



 次の機会には第一章から第九章迄、眼を通していきたいと思います。

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