鳥井さんが亡くなられたのは令和2年11月3日。和歌山で「星雲」を立ち上げられてから12年後のこと。山口誓子直系の俳人だった。小生は、ときどき俳人関係のパーティでその温顔に接し、会話を楽しんだものだった。古希寸前のご逝去でした。
該句集は、氏の従兄弟で同級生だった小川望光子氏が、第四句集『星戀』以降の作品を対象に、「星雲」会員全員の選を経て、229句に絞り入集したもの。文學の森、2021年11月3日発行(氏の命日にあたる)。
小生の戴いた句は次の通り。
007 天心に声をのこして落雲雀
013 島の灯の潤む夕凪一つ星
034 夕星の空のあをさや合歓の花
040 石蕗日和島から島に嫁が来し
052 鉛筆は先師の形見鳥雲に
063 婚の使者来る里山の柿日和
064 湖凪いで海荒れてをり夕時雨
067 凛然と一壺一輪寒椿
072 白魚は水の色して紛れざる
076 源流の空のあをさや山桜
078 焼けるほど鮎美しき化粧塩
083 台風のいま静けさのど真ん中
088 祝「星雲」創刊十周年
星雲の綺羅星冴ゆる志
094 鶯餅抓めばいまに啼きさうな
099 日表も日裏も美しき山ザクラ
103 廃舟を花壇に島の海の家
111 夜も白き白砂青松十三夜
126 海円し紀州南端青岬
129 風死すや島の裏より遠汽笛
136 瞬きのごとき一生星飛べり
敢えて解説するまでもなく、全句が清澄な姿の良い句ばかりである。つくづく丸顔で温顔な鳥井さんを思いだすのである。早すぎた一生を、鳥井さんはこう詠んでいた。
瞬きのごとき一生星飛べり
合掌
追記
「星雲」の後継誌として「鳥」が創刊されました。このことについては、小生のブログ
https://www.kuribayashinoblg.com
の2021年8月20日版にありますので、ご参照ください。
Comentarios