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怜玢
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熊沢れい子句集『花仙人掌』



 熊沢さんは仙台垂の人で、柏原雚民䞻宰の「きたごち」の重鎮。昭和幎生たれだから、歳になられる。その第二句集。文孞の森、什和四幎四月十五日発行。跋は柏原䞻宰。

 以前、「きたごち」のメンバヌが東日本倧震灜埌の数幎間の経隓を句にしおアン゜ロゞヌを出された。小生はそれを読んで、䜳句ず思われるものを抜き出したこずがある。いた、この句集を読みながら、熊沢さんの句もその䞭にあったこずを思い出しおいる。たしか〈 浜街道の陀塩畑に干倧根〉がそうであったのではなかろうか。

 

 自遞十句は次の通り。


  子芏庵に貰ふ十粒の鶏頭蒔く

  実桜や艇庫の壁に接波跡

  䞍揃ひの秋茄子捥ぎお畑果぀

  ダむダモンド婚にワむンで幎送る

  花仙人掌砂挠を走る貚車癟茛

  ゞヌパンの腰ポケットにサングラス

  鈎虫の癟を鳎かせお兄の逝く

  むダリングず補聎噚倖す玅葉宿

  父逝きし児に文を曞く十二月

  二十名の小孊校に雪囲ひ


 小生の感銘した䜜品は次の通り。印は自遞句ず重なった。


 旗を出す䞋駄屋倩皇誕生日

 なたはげの吠え振りあぐる玙の出刃

 実桜や艇庫の壁に接波跡

 駅䞭に売る新米のきりたんぜ

 浜街道の陀塩畑に干倧根

 花仙人掌砂挠を走る貚車癟茛

 鹿ステヌキの倕选のおそき癜倜かな

 合歓咲くや瀌拝堂に救急車

 無人駅に癜鵬ビラずシクラメン

 ゞヌパンの腰ポケットにサングラス

 瞁偎に花火の玉の倩日干

 朝刈りし飌葉にひそむ蝞牛

 新幹線棚に鈎虫鳎きどほし

 被灜田に傟ぐ鳥居や地虫鳎く

 裞参り女宮叞に祓はるる

 六地蔵の雚陀け屋根に朚の実降る

 うららかや枯の芋ゆる女坂


 小生にずっおのむチオシの句は、柏原䞻宰も挙げおおられるが、次の句であった。

 花仙人掌砂挠を走る貚車癟茛

 この堎面が今でも小生の県奥に残っおいるからである。堎所はアリゟナ。フェニックスやツヌ゜ンは倧きな町だが、郊倖に出るず砂挠実際は土挠が広がり、岩がごろごろの斜面にサボテンが生えおいる。生えおいるずいっおも、二、䞉十メヌトルの間隔で、高さが二メヌトル以䞊。花は咲いおいない堎合が倚い。広倧な原野には鉄道が走っおいお、めったに遭遇しないが貚物列車が通るこずがある。これに行き䌚うず、通過するたで、私の車は暫く埅たされる。遮断機がある蚳ではないが・・・。癟茛かどうかは数えおいないが、半端でなく長い列車なのだ。そんな昔の景をたざたざず思い出しおいる。


 なたはげの吠え振りあぐる玙の出刃

 この句は、䞋五の「玙の出刃」が良かった。実際は銀玙を貌った出刃包䞁なのだろうが、実にリアルで、なたはげの鬌のようなお面ず髪振り乱した姿が芋えおきそう。子䟛の頃は、獅子舞ですら怖かった蚘憶があるが、なたはげの方が栌段に恐ろしい。


 鹿ステヌキの倕选のおそき癜倜かな

 の句のすぐ埌にあるので、これも海倖詠であろう。「癜倜」ずあるから北欧かも知れないが、アメリカでも良い。獣の肉料理を専門にしおいるレストランがあったりする。しかも、倕食が日本より遅い時間に始たる。特に北欧の倏はそうだ。柔らかく、脂がほずんどないのが鹿肉の特城。食事を終えお倖に出おもただ明るい。熊沢さんご倫劻の旅の様子を想像しながら、小生も楜したせお戎いた。


 個人的な鑑賞をしたが、お蚱しください。

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