top of page
怜玢
  • ht-kurib

盞子智恵句集『呌応』




 盞子さんは幎の第回角川俳句賞受賞者で、「柀」小柀寊䞻宰䞀筋の方。その第䞀句集巊右瀟、幎月日発行である。

 序文は小柀䞻宰。その䞭で䞻宰は、この句集の題名『呌応』を耒めおおられる。「詩ずはこずばずこずばの呌応を曞き蚘したものず考えおいたからだ」「取り合わせ俳句はたさに、季語ずそれ以倖のフレヌズの呌応を蚘したもの。䞀物仕立おの句においおも、こずばずこずばの呌応を読み取るこずがおもしろい」ず曞かれおいる。

 垯の衚には、次の句が蚘されおいる。

  矀青䞖界セヌタヌを頭の抜くるたで


 自遞句は次の通り。


  火星にも氎や蚕の糞吐く倜

  畊焌きぬ焌けざる草の突぀立ちぬ

  ゎヌルポスト遠く向きあふ桜かな

  桜逅指に蹌ありしころ

  䞀滎の我䞀瀑を萜ちにけり

  日盛や梯子貌り぀くガスタンク

  砂払ふ浮茪の䞭の鈎の音

  北斎挫画ぜろぜろ人のこがるる秋

  ずこずはに埌ろに進む螊かな

  遠火事や玻璃にひずすぢ鳥の糞

  雪雲の日裏ずんずん進みくる

  にはずりのたぶた䞋よりずぢお冬


 小生の戎いた句は次の通り。印は自遞句ず重なった。


 梚食ひぬ錓膜の奥に梚の音

 掛けお父の背広の重し春の暮

 君くばるビラ螏たれをり油照

 叀着屋は他人の匂ひ冬の雲

 プリンやや匙に抵抗しお春日

 たゐ぀たず蚀ひお楜しき倕立かな

 壁玙の嘘の朚目やそぞろ寒

 ひもの屋の干物のための扇颚機

 にはずりのたぶた䞋よりずぢお冬

 ハンガヌにハンガヌかけお十二月

 火星にも氎や蚕の糞吐く倜

 座垃団持ち車掌亀代秋の山

 背泳ぎの䞀人は曲がり進みをり

 陜炎やゆ぀くり閉ぢる欠䌞の口

 箱県鏡ずほくに匟の脚も

 ほめおほしき人は遠くに星祭

 身を入れお雚の匂ひの茅の茪かな

 秋颚や瓊瀫の䞭の哺乳瓶

 箱開けお冬林檎なり雪のにほひ

 颱颚来焌かれお魚の目の真癜

 矀青䞖界セヌタヌを頭の抜くるたで


 いく぀かを鑑賞しおみよう。


 ひもの屋の干物のための扇颚機

 ハンガヌにハンガヌかけお十二月

 䞀芋しおただごず俳句のようで、芋過ごしおしたいそうになる句であるが、小生には面癜く読たせお戎けた。気づきが、この句を始め、倚くの句の原動力ずなっおいる。気づいただけでなく、それを句ずしお完成させる力をお持ちだ。そしお読者になんずはなしの「面癜さ」を䞎えおくれる。


 にはずりのたぶた䞋よりずぢお冬

 この句も気づき「䞋より」が芋事。そうだったなあ、ず家で飌っおいた鶏を思いだす。しかも「冬」が鶏の閉じた薄い瞌ず「呌応」しおいる。どう芋おも冬の感じだ。


 座垃団持ち車掌亀代秋の山

 琵琶湖偎から比叡山に電車で登ったずきを思いだした。別の堎所や路線でも良いのだが、頂䞊駅に぀いお、折り返しのために、車掌や運転手が座垃団や運転に必芁な道具䜕ずいうのか知らないが真鍮のハンドル狀のものを持っおおりおくる。ちょっず芋たその景が䞀句ずなる。「秋の山」もよかった。


 火星にも氎や蚕の糞吐く倜

 小さな気づきの句以倖に、このような構成的なスケヌルの倧きい詩的な䜜品もある。「火星」「氎」「蚕の糞」のそれぞれの「こずば」が響き合っお、宇宙の雄倧な無機物「火星」ず、地䞊の小さな有機物生き物の呜の営為「蚕の糞」ず、それを結び぀ける「氎」がそれぞれ「呌応」し䞀䜓化し、読者に䞊質の詩情を䞎えおいる。小生むチオシの䞀句。


 有難う埡座いたした。

閲芧数147回0件のコメント

最新蚘事

すべお衚瀺
蚘事: Blog2 Post
bottom of page