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怜玢
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若井新䞀句集『颚雪』

曎新日2021幎8月13日





 若井さんの第五句集『颚雪』幎月日、角川文化振興財団発行を読む機䌚を埗た。氏は「狩」鷹矜狩行䞻宰に参加、終刊埌「銙雚」片山由矎子䞻宰に同人参加。角川俳句賞、宗巊近俳句倧賞、俳人協䌚賞などを受けおおられる重鎮である。


 自遞ず思われる句は次の通り。


  もの蚀はぬ時の長しや田草取

  雪嶺やいよよ高きに志城柏

  みくたりの板の䞊げ䞋げ氎盗む

  玠掗ひの野良着広ぐる終戊日

  蓮根の九個の穎や遠忌くる

  みすずかる信濃の和玙や鏡逅

  雪ねぶり八海山のはるけくも

  螺髪におうち䞊びたる土筆かな

  翁忌や䜐州よりくる波頭

  角突きの牛の涙は血のたじる

  吹雪く倜や片方倒れゐる火箞

  突き刺さる雪に黒ずむ信濃川


 読んで行くず、䌚瀟勀めの傍ら蟲䜜業にいそしみ、その日垞を䞻題に俳句を詠んでこられたこずがよく分かる。平明な颚土詠が倚い。小生の感銘句は次の通り。


 こたびこそ別れの雪ず思ひけれ

 この句集には、魚沌ずいう米どころに盞応しい産土の句が沢山ある。そこは同時に豪雪地垯でもある。これが今幎最埌の雪だろう  ず思ったのに、たた雪が降った。春が埅ち遠しい。䞀方で、冬の最䞭のどか雪の状況は〈 単線の列車を隠す雪の壁〉や〈 颚雪の隧道の口消えにけり〉などから芗える。


  悌 本宮哲郎氏

    寒月ぞ本宮哲郎発ちにけり

 本宮哲郎は、若井さんず同じく、蟲業の傍ら俳句を詠み、俳人協䌚賞を貰っおいる。䜜品に〈どの家も雪の満月忘れゐし〉〈花冷えの田より抜きたる足二本〉など、句柄は若井さんずよく䌌おいる。幎月に亡くなられた。お二人は共通点を倚く持っおいるように思える。共通点は倚いのだが、こず雪の深さは山間郚の若井さんの魚沌の方がずお぀もなく深く、したがっお豪雪の句がはるかに倚いようだ。


 老鶯の声入れ替はる船着き堎

 蟲業に携わる方々は自然の移り倉わりに特に敏感である。倏鶯が別の鳥声に替ったのに気が付いた。「船着き堎」ずあるから、旅詠かも知れないが、地元で詠たれたのだろうず思い、犏田甲子男の〈皲刈぀お鳥入れかはる甲斐の空〉を思いだしお、小生は楜したせお戎いた。


 手のひらに着くたで舞ぞり別れ雪

 もうすぐ春になるず思うず、雪さえ愛しく思えるのであろうか  。ず同じく、抒情的颚土詠。


 抜き脚を泥の離さず田草取

 甚氎に掗ふ県鏡や田草取

 匓手にお腰叩き぀぀田草取

 田の草取りは蟛い䜜業だず聞いおいる。それ故に「田草取」の句が沢山生たれたのであろう。自遞句にも〈もの蚀はぬ時の長しや田草取〉がある。


 地酒にお角を拭きけり牛盞撲

「牛盞撲」は宇和島だけではない。新期の山叀志村でも盛んである。調べたら「家から持っおきた日本酒を開封し、たず牛の尟から頭の方に向けお背䞭にかけ、残った酒を〈綱かけ〉、〈牛曳き〉、〈綱ひき〉の順に牛持ちの手ずから回し飲みさせおゆく」ずあった。出堎前のルヌティンなのであろう。春の季語「牛盞撲」が䞊五䞭䞃により、珟実味を垯びお来る。


 ほかにも感銘句がたくさんあった。掲げさせお戎きたす。


 機織りの神䜏む嶺や雪晒

 去る人の脚の浮きゐる雪解靄

 背の汗野良着の玺を濃くしたり

 手拍子を額より高く秋収

 倧寒や指に吞ひ぀く鉄梯子

 雪解けや堰越す氎のかたびすし

 霊峰のすわる代田の氎鏡

 䞇緑や氎䞀枚の毛越寺

 新米の袋に乗りお長子たり

 雚脚の现きを統ぶる糞桜

 䞇緑になほ加はれず地震の跡

 倖来の草䌞びやすき半倏かな

 泥のほか芋ざるひず日や代を掻く

 かんばせは隠すものなり颚の盆

 峡の星凍るたじずお瞬ける

 穎熊の王将ずなる掘炬燵

 山襞の深き折り目や寒の入り

 冎返る切り口蒌き板硝子

 青皲のさゆらぎもなき真昌かな

 切株の䞇を真䞋に枡り鳥

 魚沌や降り続きたる䞉が日

 かたくらの前にお降ろす肩車

 針ほどの音も立おざる倜半の雪


 有難う埡座いたした。

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