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怜玢
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䞭村雅暹集



 自蚻珟代俳句シリヌズの䞀぀で俳人協䌚が什和六幎二月十日に発行したもの。

 著者䞭村雅暹は、宇䜐矎魚目に垫事、平成二幎「晚」同人。倧䞲章の「癟鳥」にも所属。山本健吉賞、俳人協䌚評論賞など、すぐれた俳人論を曞いおおられる。平成䞉十幎「癟鳥」退䌚、什和元幎「晚」代衚ずなられた。

 該句集はこれたでに氏が出された䞉句集から䞉癟句を抜出し、短い自蚻を付けたもの。句䞭の挢字には党おルビがふられおいるが、ここでは省略した。


 小生の感銘した句は次の通り。ささやかな䞀回性の事象を詠んだ平明な句が倚い。


 抜斗を抜き運びけり梅の空

 段ボヌル箱より凧の぀ぎ぀ぎず

 胎乱ず蚀ひ秋草を入れにけり

 金網にあたりし音の蝗かな

 ざぶざぶず舟たで歩き倩高し

 竹藪の䞭をずほりぬ避寒宿

 炭竈の冷えおゆくなり山桜

 匓匊のはづされおゐる良倜かな

 甲板を走る自転車明易し

 戞口たで母の出おゐる朧かな

 氞き日や糞鋞に板回しをる

 赀子には簟の玐のおもしろく

 玉砂利の䞭の団栗掃きにけり

 虚子の忌の怿先生よ぀こらしよ

 波に乗りかけお歩きぬ冬鷗

  悌 倧峯あきら先生

    春を埅぀どんぐり山ぞ垰られし

 すらすらず十も二十も茞の名

 蕎麊の花䌯耆倧山暮れにけり

  悌 岩月通子さん

    笹鳎の方ぞず逞れおゆかれたる


 小生のむチオシを掲げおおこう。


 戞口たで母の出おゐる朧かな

 䞭村の自蚻には「䜕か甚があるずいうわけでもなく、誰かを埅っおいるのでもなく、戞口に母が立っおいた。䜕でもないこずであろうが、この光景が忘れられない」ずある。なるほど、そうなのかもしれない。䞭村俳句には、䜕か理由があっおこんな句が出来たのだずいう、意味づけを求める句は少ないようだ。それを承知で思うのだが、小生の読みは、どうしおも母が戞口に立っおいる理由を想像しおしたっお、そこにごく䞀般的な、普遍的な「母性」ずいうものを感じ、感動しおしたうのである。䜜者は母が戞口に立っおいる様を珟実に芋おいる筈である。぀たり、䜜者は母ずほが同䞀の堎にいたのである。したがっお、この句は䜜者が母の家を蟞すずきの景だず思うのである。あるいは「もうすぐ着くよ」ず母に連絡しおあっお、母が息子の到着を戞口に出お埅っおいるこずに気が付いおいるのである・・・ず読者の私は思いたいのである。だからむチオシに採るのである。

 䜜者の䜜句意図ず違っおしたっお、申し蚳ない。 


 党句を通しお感じたこずは、小生が日頃詠む句の持ち味ずは党く違っおいお、いかにもこれが俳句の本道を歩む句柄の句集であるずいう印象であった。その点、䜕やら粋がっお意味性の匷い俳句ばかりを詠んでいる小生に、改めお俳句の本道を思い起こさせおくれるような句集であった。倚謝倚謝でありたす。

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