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怜玢
  • ht-kurib

也 䜐䌎句集『シヌラカンスの砂時蚈』



 也さんはただ歳代の若手の俳人。「吟遊」の同人で、「蘇鉄俳句䌚」などにも所属されおいる。䞖界俳句協䌚の䌚員。その第二句集で、幎月日、砂子屋曞房発行。

 跋は早皲田倧孊時代のれミの恩垫内藀明さんが曞かれ、あずがきからは、父が倏石番矢、母が鎌倉䜐匓さんだず知った。短詩系のご䞀家であられる。

 

 䞀読しお颚倉わりな句集である。句集ずいうより「䞀行詩集」ずいう方が盞応しい。発想はきわめお斬新、文䜓も口語のせいかポップである。定型感はあるものの、それに拘らない。季語のないものが倚く、あっおもその䜿われ方は本意本情的ではなく、䞀぀の「モノ」あるいは「詩語」ずしお䜿われおる感じがする。倚く詠たれおいるものに「シヌラカンス」や「空飛ぶ絚緞」があり、特に前者はこの句集の衚題にもなっおいる。シヌラカンスは、著者が思いを籠める、倢や情をもった生呜䜓であり、著者の拘りを蚗したものの「兞型」ずしおの句材なのである。 

 小生の目がはたず止たった句を挙げおおこう。

 

 垌望ずはゞャングルゞムの䞭の颚

 毎日が楜しいレタスは氎はじく

 シヌラカンス倢の䞭から出られない

 幞せはずきどき怖いチュヌリップ

 挂っおみたい玅茶の銙になっお

 早春の汜笛ず颚がも぀れ合う

 代わりなどいない茝くオリオンに

 優しさは檞檬のような楕円圢

 倜の海シヌラカンスは星のもの

 䞀番に笑っおほしいチュヌリップ

 芋られおる 卓䞊鏡の䞭から

 県鏡橋を雲が通る

 ヒロむンは迷わずわたし菫咲く

 雚音が聞こえおきそう琥珀から

 颚船は昚日を振り返らずに飛ぶ

 砂のないシヌラカンスの砂時蚈

 早朝の散歩はらぺこあおむしず

 空飛ぶ絚毯知らずに誰かの倢乗せる

 シヌラカンス東京をうたく泳げない

 倕焌けはシヌラカンスの忘れ物

 䜕の音 䞀番星が光る音

 芋䞋ろしおみたい茝くオリオンを

 友ならば沢山いたすクレペンは

 倩性のほほえみ䞊手チュヌリップ

 遠くおも隣にいたすオリオン座

 倏の蝶颚ずはぐれおからも飛ぶ


 先にも曞いたが、この句集の特城は䞀行詩的であるずいうこずに぀きよう。だからこれが「俳句」であるず蚀われるず、埓来掟の俳人たちからいろいろ蚀われるであろう。埓っお、これは䞀行詩集であるずした方が無難であろう。

 文䜓も発想も新しく、俳句衚珟史の䞭で将来どのように評䟡されるのか、楜しみである。


 小生のむチオシを掲げおおこう。


 雚音が聞こえおきそう琥珀から

 ゚カテリヌナ宮殿の琥珀の間の「琥珀」ずは違う。女性のネックレスか倧きめのブロヌチであろう。琥珀には虫が閉じ蟌められおいるものがある。䞀億幎も前の呜である。だから「雚音」でなく「虫の声」なら玍埗できるものの、それではいかにも季語を抌し蟌んで䜜った俳句ずなり、面癜くない。ごく自然に「雚の音」が聞こえたずしたずころが、芖点が、いや聎点が広がっお、よかったず思う。


 有難う埡座いたした。ずおも刺激になりたした。


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