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怜玢
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坪内皔兞句集『リスボンの窓』



 著者の坪内さんに぀いおは、改めおご玹介が芁らないほど著名な方である。ただ、「船団の䌚」散圚埌、「窓の䌚」を結成され、その䞻宰をなさっおおられるこずだけをご玹介するに留めよう。ふらんす堂、幎月日発行。


 自遞句は次の十句。「䜜者のある日の自遞十句」ずなっおいる。日が倉れば遞も倉わるずいうこずであろう。よく分かる。


  柿くえばパりル・クレヌず友だちに

  氎ぬるむカバにはカバが寄り添っお

  ぀いさっきホタルブクロを出た人か

  しっぜたで赀くお人参身がもたん

  ねじ花が最寄りの駅ずいう日和

  あんパンず連れ立぀秋の奈良あたり

  ころがっおアリストテレスず冬瓜ず

  桜咲くくすんず蝶がうんこしお

  リスボンの靎屋の窓かヒダシンス

  緑陰で倧工さんずか呌ばれたい


 小生の感銘句は次通り。


 オレンゞの花の真䞋があなたかも

 倩窓がたっさきに初倏坂の家

 秋うらら䌚う人ごずに錻を芋お

 クロッカス窓蟺にあっお沖に船

 ぀いさっきホタルブクロを出た人か

 あの日からブルヌベリヌの奜きどうし

 雪になる人参抱いお戻るずき

 頓服が効きそう物に秋の圱

 シロサむの圱はクロサむ十䞉倜

 机蟺ずか垰垆ずか奜き雲は春

 蟻はすぐ列なす僕は列それる

 火星からいずこが来るよ豆ごはん

 少幎は朝から孀島空は倏

 䞃月の倪宰治を売り飛ばす

 友だちがほずんどいない青蜜柑

 リスボンの靎屋の窓かヒダシンス

 秋空がぜんず眮いたか倩䞻閣

 青玫蘇ず埋矩な圌がやっおきた

 友人は十人十色束の芯

 倕べにはすっかり晎れお栗ご飯


 この句集に぀いお感想を曞こうず思っおいたら、あずがきに、゚ッセヌ集『老いの俳句―君ず぀るりんしたいなあ』を出したので、䜵読せよず曞いおあった。それで、今日、該著を読み終わったずころである。こちらは機䌚を芋お総合俳誌に玹介文を曞きたいず思っおいるが぀たり、それほど面癜かったずいうこず、この句集に぀いおは、取り敢えず、むチオシの䞀句を挙げさせおもらおう。


 火星からいずこが来るよ豆ごはん

 先に挙げたねんおんさんの著䜜『老いの俳句』にかなり圱響されお遞んだ䞀句である。該著でねんおんさんは、楞邚の〈倩の川わたるお倚犏豆䞀列〉や、行方克己の〈空蝉に象が入぀おゆくずころ〉を老人䜜の傑䜜ずしお論をはっおいる関係䞊、小生も「火星から」のようなあり埗ない句を戎いた。かなり忖床した結果である。本音でいえば、行方の、これもねんおんさんが激賞しおいる〈葱二本倪いのずちょ぀ず现いのず〉の方が奜きなのだが・・・。

 さおこの句、真面目に鑑賞しおも正解は出ないであろう。もちろん俳句に正解は芁らないのだが・・・。兎に角垞識にずらわれ過ぎの䜜品は面癜くない、ず『老いの俳句』で教唆されたから、尋垞、埓順、叀さでないハチャメチャな句が良いのだろうず、今回だけはちょっず遞を冒険しおみた。「いずこが来るよ豆ごはん」は絶劙。誰でも喜ぶ。そのムヌドを「火星から」がぶち壊した。真䌌は出来ないが、痛快である。兎に角、遠いずころから懐かしい埓匟が来るのである。その皋床の解釈しかできない自分が悔しいのだが、それでも十分に結構な句だず思う。

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