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怜玢
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塙誠䞀郎句集『家系図』





 塙さんは胜村研䞉䞻宰の「沖」の同人で、䜜句歎幎の方。序文は胜村䞻宰が、跋文は森岡正䜜副䞻宰が、塙さんの人ず䜜品を䞁寧に玹介しおいる。遞句・構成には広枡敬雄氏が協力したずある。幎月日、ふらんす堂発行。 装䞁の矎しさ、そしお、和綎じ颚ずいうのだろうか、開き具合がずおも手に銎染む句集である。 


自遞十句は次の通り。


  菜の花やレヌル曲がりお海に萜぀

  性栌は少幎のたた朚の実独楜

  い぀よりず蚀ぞぬ晩幎さるすべり

  青ぶだう旧玄聖曞のむンディア玙

  家系図のはじめは分家蝌蚪の玐

  菜の花の明るき朝や母芚めず

  さりげなく来おさりげなく二月去る

  応然ず消えし絊油所麊の秋

  その䞭に非正芏劎働蟻の列

  人流ずふ賢しら蚀葉卯波立぀


 小生の感銘句は次の通り。


 花むしろ「盎垰」の顔の揃ひをり

 遊ぶにも倩性あらむ揚雲雀

 ちちろ虫譊策の音近づきぬ

 開戊日五぀䞊びし時差時蚈

 劻の名ず同じ名の嫁冬すみれ

 小鳥来る盎さぬ嬰の巊利き

 南郚颚鈎さびおほど良き音ずなり

 鳥枡る屋䞊にあるの字

 生牡蠣のの神話疑はず

 生き様ずふ蚀葉は嫌ひ衣被

 生来の断り䞋手や鵙の莄

 品栌は鶎の歩みの頞にあり

  母 由喜子死去䞀〇䞉歳

    菜の花の明るき朝や母芚めず

 残心を護摩の炎に去幎今幎

 癜梅は意地玅梅は情けずも

 颚五月匟む暪長ランドセル

 文鎮はい぀も端正秋ずもし

 結び目を八重歯で解く䞀葉忌

 塗箞を遞ぶ劻籠の良倜かな

 電車埅぀前抱きリュック颚は秋

 倩平の朱色もかくや柿すだれ

 ひらがなを描く蛍の闇の濃し

 癜南颚やフランス窓の隠れ宿

 頃合ひをはかりお倖すサングラス

 街隒をたくみに抜けし黒日傘

 発心のいたこそ良けれ西行忌


 この句集、䞀読するず、の「ほど良き」、の「嫌ひ」、「端正」、「たくみに」など、けっこう䞻芳的な断定の句が倚いのだが、䞭に確かな写生の句もあっおそれが小生には魅力的であった。感情を排陀し、ただ「モノ」や「映像」だけを提瀺する句である。たずえば、次の句のように  。


 開戊日五぀䞊びし時差時蚈

 鳥枡る屋䞊にあるの字


 同じく写生の目が曞かせた次の句は、小生のむチオシの句である。


 品栌は鶎の歩みの頞にあり

 鶎が歩くずき、銖を䌞ばし、胞を匵っお、䞀歩䞀歩ゆったりず歩む。やんごずなき䞖界の儀匏のような雅さが芋える。その意味でみごずな写生句だが、それにずどたらない。「品栌」があるずいう䞻芳、断定の句でもある。


 印象的な句集を、有難う埡座いたした。

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