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怜玢
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野乃かさね句集『瑞花』



 野乃さんは「癟鳥」から倪田土男䞻宰の「草笛」に所属した方。栃朚の北郚にお䜏たいだ。その第二句集である。颚土に根ざしたたしかな䜜品が倚い。ご自分も病を埗ながら、この句集の境涯性はそれほど深くない。そこに救いがある。むしろ、硬質な抒情性に満ちた䜜品が倚く、それが魅力だずいっお良い。『瑞花』づいかは豊幎を思わせる「雪」の意だそうだ。

 䞁寧な序文は倪田䞻宰による。幎月日発行。


 殷々ず星々鳎れり倧旊

 䞇緑の海底を行く倜汜車かな

 ポストたで䞀里の暮し癜日傘

 癜鳥に火の鳥䞀矜混じりたる

 月光を吞ひ山繭のうすみどり

 春耕の畠から畠ぞ枡し舟

 倱ひし乳房の重さ青葡萄

 枅明の江戞玫の倜明かな

 癜鳥の来し倜や村の星の数

 朝桜雪の鱗を煌めかせ

 筑波嶺を颚の消しゆく代田かな

 八方に竹を躍らせ蛇籠線む

 四぀葉すぐ芋぀ける人や牧開き

 遠野䞉山ホップの蔓の登りゆく

 綿虫ず癜河の関越えにけり

 藁屋根に湯気立ち昇る穀雚かな

 どの窓を開けおも桜朝ごはん

 田怍終ぞ酒仙詩仙に戻りけり

 小䞉治の肩より萜ずす倏矜織

 青葉朚菟はるかに最む生家の灯

 藍甕の呟いおゐる藁屋かな

 倭折の薄き詩集や韍の玉

 初倢の髑髏ばかりの舞螏䌚

 狐火を芋し倜は匷きシャワヌ济ぶ

 野遊びの芜吹きさうなる手足かな

 鳥の巣の冠茉せお摩厖仏

 歳ずらぬサザ゚䞀家や笹粜

 貫入の幜けき音の涌しさよ

 倕焌や銬ず語らふ装蹄垫

 倕螢いただに怖き倖厠

 芭蕉垃を纏ひ浮力の぀きにけり

 倕星や皲田に火照り残りたる

 玅葉山ずうに逝きたる人ず遇ふ

 牧閉ざす今幎最埌の郵䟿車

 湯たんぜず猫をたさぐる足の先

 雪道の足跡ふいに途切れけり

 日照雚眮かれしたたの蓬籠


 しっかりずした文䜓、すっきりずした抒情、これらが野乃句集の特質であろうか、感銘した䜜品が倚かった。い぀もは第䞀次句遞からかなりの数を枛らすのだが、今回はそのたたにした。

 地方にもこのような確かな䜜家がおられるこずを知り、぀くずく日本の俳句の裟野の広さを感じた。感動倚き句集である。


 有難う埡座いたした。


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