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雑誌の眼鏡

栗林のブログ

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ヒューマニズムの俳人―友岡子郷

友岡子郷さんが亡くなられた。2022年8月19日、行年88であられた。私は、子郷さんを明石に訪ねて、拙著『昭和・平成を詠んで』の客様のお一人としてお話を伺ったことがある。その後、蛇笏賞をお取りになり、東京の祝賀会で奥様ともどもお会いしたものでした。いま、その取材記録を読んで...

『黛執全句集』

令和二年十月二十一日に亡くなられた黛執さんの全句集が、黛まどかさんのご努力で発行された(令和四年同月同日、角川文化振興財団発行)。行年九十。水の秀句が多いことから、この日を「秋水忌」とした。序数句集八冊と、その後の作品などを加えてた2956句を入集。...

『鈴木しづ子一〇〇句』武馬久仁裕・松永みよこ共著

鈴木しづ子に詳しい武馬さんと、地縁もあって彼女に傾倒した松永さんの共著である。なかなか読みごたえがある(黎明書房、2022年10月10日発行)。 一〇〇句の解説の中から、小生の「読み」が深まった、あるいは、誤読を正された、あるいは再発見させて戴いた句々を挙げていこう。...

瀧澤和治著『福田甲子雄の百句』

ふらんす堂の百句シリーズである。2022年10月1日発行。瀧澤さんは福田甲子雄をこよなく敬愛した門下生。山梨県笛吹市に住み、俳誌「今」代表をなされておられる。まわりには甲子雄を慕う方々が密に集まっている。 百句の中には小生も愛誦していた句があるので、懐かしく、いくつか挙げて...

黛まどか句集『北落師門』

黛まどかさんは知名度の高い人だから、ここに紹介するまでもないのだが、月刊「ヘップバーン」創刊主宰であったほか、スペインの巡礼道800キロ、釜山―ソウル閒500キロ、四国遍路1400キロなどを踏破されている。文化交流使としてパリ駐在、京都x俳句プロジェクト「世界オンライン句会...

大石 恒夫 「夢」を読んで

『俳句の杜』2022 精選アンソロジーより 大石さんの作品100句は「夢」というショート・エッセイから始まる。「夢」にかかわる芭蕉・兜太・完市などの著名な俳句を挙げ、その中に次のような作品を交え、 夢殿をまた通り過ぐ春の夢   塩野谷仁...

『訴歌』―ハンセン病療養者の短歌・俳句・川柳

この著書を友人から紹介されたのが、ついこの間であった。2021年4月26日(皓星社)発行なので、遅きに失した感があるが、ある事由から、後付けの批判を覚悟しながら、敢えてここに取り上げることにした。 その事由とは、小生もハンセン病療養者には関心があり、その不当な扱われ方と、忍...

鴎座創刊二十周年 鴎座合同句集3「絆」

鴎座の主宰松田ひろむさんからアンソロジーを戴いた。創刊二十周年の事業として、記念祝賀会を考えたが、新型コロナのせいで、中止せざるを得なかった。そのかわり、合同句集を発行することとして、その名を『絆』とされたようだ。2022年8月1日、鴎座俳句会発行。...

横山遊那子句集『山の子』

横山さんは名和未知男主宰の『草の花』の同人で、「草の花新人賞」「草の花賞」を貰っておられる。序文では名和主宰が、実に多くの佳句を挙げている。その通り、集中、一句目から最後の句まで、完成度たしかな句が並んでいる。自選句が帯に10句挙げられているが、小生はそのうち6句を戴いてい...

林 誠司著『俳句再考―芭蕉から現代俳句まで』

林さんは「俳句四季」と「俳句界」の編集長を経て、「海光」の創刊代表、出版社「俳句アトラス」の設立者でもある。 該著は、初心者から中級者に亘って、読みたくなる俳句の疑問点・テーマと言ったものを通説と私説とを含めて解説している。...

髙田正子著『黒田杏子の俳句』(その2)

該著紹介の後半として、第二章 黒田杏子の〈櫻〉 第三章 黒田杏子の〈月〉 さらに 第四章 黒田杏子の〈家族〉 と読んで行く。 第二章 黒田杏子の〈櫻〉 該著の三一七頁から三七一頁に亘って、もっぱら杏子の「櫻」の句を訪ねている。...

根来久美子句集『たゆたへど』

根来さんは大輪靖宏先生の「上智句会」や「若葉」(鈴木貞雄主宰)をへて、現在、「ソフィア俳句会」と「すはえ」の代表を務めておられる。その句柄は自選句から分かるように、あくまでも静かに対象を見ての句が多い。境涯や社会批判は少ない。大輪先生やそのお仲間の句柄もそうなのであろう。...

和田順子句集『皆既月蝕』

和田順子さん「繪硝子」主宰の第六句集である。句集『流砂』で第19回横浜俳話会大賞を貰っている。令和四年九月二十日、ふらんす堂発行。 自選句は次の15句。 いくそたびその名問はれて翁草 石積の集落どこも枇杷熟れて ジーンズに脚入れて立ち夏は来ぬ 炎天を歩む失ふものは無く...

髙田正子著『黒田杏子の俳句』

五百頁をゆうに超える大著で、これに年譜を添えればまさに「黒田杏子ハンドブック」完成である。「黒田杏子百科事典」と呼んでもいいかも知れない。黒田の俳句作品をあまねく集めてある。それだけでなく、主要な季語に係わる作品群には、師の山口青邨や、他の俳人の著名な作品をも紹介し、ところ...

豊里友行句集『母よ』

豊里氏とは、もう二十年も前になろうか、小生が若手の俳人を取材し、インタビュー記事を「俳句界」に連載していたころ、沖縄をたずねてお会いしたのが初めてであった。そのとき、写真家でもある氏は、小さな洋菓子店の一隅で写真の個展を開いていた。沖縄の人と風景の写真展であった。その句柄は...

伍藤暉之句集『BALTHAZAR』

畏友伍藤暉之氏は令和四年一月、八十一歳で亡くなられた。草田男門の磯貝碧蹄館の高弟で結社「握手」の重鎮であった。俳句の何たるも知らない小生は、初学から随分とお世話になったものである。 伍藤氏は、仲間内でも大の読書家であり、泰西の文学に詳しい「芸術派」であった。だから俳句も俗な...

伊丹啓子句集『あきる野』

「青玄」の後継誌「青群」の創刊編集発行人であった伊丹啓子さんの第三句集である(2022年8月22日、沖積舎発行)。 偉大なる表現者伊丹三樹彦・公子を父母とする啓子氏の、父恋・母恋の句集である。もちろん、そのほかをモチーフとした句も多いのだが、私の胸に迫ってくる作品は、それら...

古志青年部作品集2022

今年もまた「古志」青年部長の石塚直子さんより、『古志青年部作品集』を戴いた。ひとり12句ずつのアンソロジーだが、中から一句ずつを選ばせて戴いた。 麦青し空が自由でありしころ    イーブン美奈子 母の恋祖母の恋きく葛湯かな      石塚 直子...

山本一歩句集『春の山』

山本一歩(「谺」主宰)さんの第六句集である。2022年8月20日、本阿弥書店発行。山本さんは、角川俳句賞、俳人協会新人賞、横浜俳話会大賞などを受賞しておられる。 この句集、極めて平易に書かれた句ばかりである。あとがきに「俳句は平明な言葉で、見えるように、美しく」と書かれてい...

栗林浩句集『SMALL ISSUE』

今年の六月、第二句集を上梓致しました(本阿弥書店、2022年6月15日発行)。 編年体でなく、文庫本のサイズにするなど、すこし拘りのある句集でした。あとがきに、次のように書きました。 あとがき 私の第二句集です。二〇一九年から三年間の作品を、第一句集『うさぎの話』と同数の二...

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