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新装版 髙田正子句集『青麗』



 髙田さんは『黒田杏子俳句コレクション』の1、2,3を発行され、また今回、新装版『玩具』『花実』およびこの『青麗』を出された(2025年1月11日、同日2冊を朔出版より発行)。

 ここでは『青麗』から好きな句を抽出して小生のブログに掲げ、お礼としたい。


 自選と思しき10句は次の通り。


  剪定の一枝がとんできて弾む

  よく枯れてたのしき音をたてにけり

  母もまた母恋ふるうた赤とんぼ

  父に湯たんぽ父に家捨てさせて

  鉾の稚児雨の袂を重ねけり

  ちと云うて炎となれる毛虫かな

  未草真昼の水を起ち上がる

  さつと来て緑雨の傘をたたみけり

  家一つ呑んでいよいよ蔦青し

  氷上を若き白鳥走り出す


 小生のお気に入りは次の通り。


007 見ゆるものみなかげろふにほかならず

010 園丁のひとりが虹にたちにけり

014 へちまよりへちまの札のなほ長し

021 ゆきずりの誰かへ冬の落椿

028 母もまた母恋ふるうた赤とんぼ(*)

047 たばさみて短刀のごと祭笛

048 灼くる地を踏み足音の無かりけり

054 薔薇守の証の腰の鋏かな

059 白息をゆたかにかへすありがたう

064 旅立たむうぐひすかぐら花のころ

070 まん中で本を読む子や花筵

077 巴里の地図貼り付けておく冷蔵庫

081 うぐひすの声をこらへてゐるところ

121 さつと来て緑雨の傘をたたみけり(*)

133 花びらを六つの国に飛ばすとや


 小生のイチオシを挙げよう。


121 さつと来て緑雨の傘をたたみけり(*)

 このような一見ただ事のような句に惹かれる。まさかと思ったが、自選句と重なったのが不思議である。緑雨の中を、たぶん颯爽とやってきた人が、さっと傘をたたみ雨滴を払って中へ入って来た。それ以外何も書いていない。どんなTPОなのか、想像して楽しい。

 有難う御座いました。

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